第48回日本重症心身障害学会学術集会を千葉で開催できることを大変光栄に思います。千葉での開催は1993年9月に国立療養所下志津病院長の森和夫先生が会長を務められ、千葉市文化センターで開催された第19回大会以来30年ぶりの開催となります。
今回は、メインテーマを「重症心身障害医療と福祉に新しい風を!−地域共生社会の実現に向けて–」としました。重症心身障害医療は、昭和42年に重症心身障害児施設が法制化されたことで、重症心身障害医療は施設を中心に全国に広まり、その発展に本学会は大きく貢献してきました。
時は流れ、平成の時代には在宅医療の発展とともに、重症心身障害児の多くが病院や施設ではなく、在宅で生活するようになりました。そして、短命といわれた重症心身障害児の多くが成人期を迎え、新たな成人期医療の課題が発生してきました。
さらに2021年9月「医療的ケア児支援法」が施行され、日常的に医療的ケアを必要とする医療的ケア児が、医療・保健・福祉・教育・労働など様々な分野で適切な支援が受けられるようにすることが地方自治体に課せられました。
千葉県の実態調査によれば、医療的ケア児の64%は重症心身障害児に相当し、医療的ケア者の93%に重症心身障害がありました。昭和33年重症心身障害児問題対策協議会において、本学会の初代会長でもある小林堤樹先生が「重症心身障害児とは病院や福祉施設で相手にされなかった障害児たちである」と考えていたことを鑑みると、日常的に医療的ケアを必要とするがゆえに様々な困難を抱える『医療的ケア児』は、本学会が対象に含めるべき障害の概念であると私は考えます。
メインテーマに掲げた「地域共生社会の実現」とは、重症心身障害や医療的ケア児に特化した支援体制を構築するのではなく、それぞれの地域にある資源を活用して、健常児や他の障害児と共に育むような社会にすることです。そして、そのような地域の資源に、私達がこれまでに培ってきた重症心身障害医療や療育のノウハウを生かしていくことが、本学会の使命ではないかと考えます。
会場は羽田空港から約40分です。全国から多くの皆様の参加を心よりお待ちしております。